これまでの記事はこちら
ダウンロードしてお読みになる方はこちらから
この記事は、A 1998 talk by DAVID GROVE (編集:ジェームズ・ローリー)の翻訳です。
さて、その「振り付け情報に対応している手がかり」はどのようなものか、そして、私が「言語的表現のそばにある句読点のようなもの」だと考えているものについて、少し、例をお見せしましょうか。
つまり、そういったことを行うためには、みなさんは、その人が自分の空間をどう使っているかを考える必要があるわけです。クライアントは、自分の空間内に言葉を並べることもありますし、もしくは、ある種の振る舞いで表すこともあります。そして、通常、もっとも興味深いかけらは、ある言葉が発せられる直前の行動のようなものです。それはつまり、目から入る情報かもしれませんし、また、次にあげるような少々面白い(funny)非合理的な表現をその人が用いるかもしれません。これは、しょっちゅうあります。 「なぜ、私を選ぶのかしら?」「何か考えないと…」「あ、わかった(ため息)」こういうちょっとしたこと、ちょっとした呟き(those little asides)に情報が満ちているのです。問題は、「なぜその瞬間、それらの呟きは現れたのか」です。
[一つ目のデモンストレーション]
ボランティアをして頂ける方を何人か回りましょうか。 私が最初にしたいことは…皆さんにする質問をいくらか明らかにしないといけませんね。
みなさんにしてもらいたいのは、「情報の小さなかけら」に注意を向けることです。そのかけらは、何らかの発言が始まる前のほんの一瞬にあるかもしれません。
もし何の発言もなかったとしたら、その情報が登場するまでにかなりの秒数がかかることもあるかもしれません。そして、その間がしていることのおかげで、みなさんは、2つの異なる場所へ向かえるようになります。みなさんは、クライアントが使っている言葉へ向かうこともできれば、その空間へ向かうこともできるわけです。そして空間が、言葉がしていることよりも多くのことをその中に含んでいることは、非常に頻繁にあります。ですが、言葉は、その空間にあるものの文脈を教えてくれますし、その逆もまた真なりです。空間は、そういった言葉の文脈です。
まずは何から始めましょうか。「やる気のある方は、どなたでしょう?(Who would be willing to …?)」
[ボランティアA]「(私は)いつでもやる気があります(I’m always willing.)」
(あなたは)いつでもやる気がある。なるほど。
まずは、「あなたは、自分はいつでもやる気があることを、どのように知りますか?」みたいな簡単なものから始めることにしましょう。というのも、かなりの数の手がかりがあるのが、理解できるからです。
さあ、みなさん一緒にやりますよ。
この質問はゆっくりと進めていきましょう。
なぜなら、この質問に向かってもらいたいのは[以下、聞き取れない]
さて、このような状況から始めること、その何が問題なのでしょう?
[参加者が何か言うが、聞き取れない]
うん、そうですね。でも、彼が探しているものを調べる(go through)前に、…ひとつ言えるのは、私はまだ質問を伝えていません。まだ、教育的な観点からしか、質問をしていません。今のところ、私が問いかけたのは、学問的な概念(メタ/meta)の質問です。それは私たちが…[聞き取れない]迄は、それが身体的になっていくのは…[聞き取れない]。彼はそれについて考えているかもしれませんが、お伝えしたいのは、それについて、「今、彼が考えていること」と「私たちが質問を問いかけた時に、彼が答えること」は、おそらく、2つの別のものだろうということです。私たちの始め方に、何か問題はありましたか?
[参加者が何かいうが、聞き取れない]
そうですね。彼の言葉は何だったでしょう?「いつでもやる気がある(I’m always willing…)」でしたね。で、彼は「やる気(willing)」という言葉をどのように得たのでしょう?
[参加者]「最初にあなたがそう言ったから。(From you at the beginning)」
ほらね、そこがポイントです。そして、私が「どなたから始めましょうか?(Who would like to begin?)」と問いかけていたら、他の誰かが「私から始めてください(I’d like to begin)」と答えたかもしれませんね。
[参加者]「もし彼が<あなたが使った言葉を使っている事実>を考慮しない(ignore)のであれば、彼はあなたのジェスチャーを使ってはいません。やはり、あなたのものではないものに注意を向けるといいのではないかと思います。」
そうですね。そして、それが、私たちが取り上げようとしているものです。彼は満面の笑顔で、手はこういう風に下がっていましたね。言い換えると、これは、言語学的な情報より随分とクリーンな情報ということになるでしょう。ジェスチャーがすでにそこにありましたから、みなさんにも、見てわかりますね。そして、私が「やる気(willingness)」を前提条件にしたので、そうしたら、(私の)要求通りのものが登場した、そんな感じでしょうか。私は、彼にやる気があるのを知っています。そして、(彼が)困っているのも知っています。(笑い声)
もし、私が「どなたか、ボランティアをしたい人はいますか?(Who would like to volunteer?)」と言ったとしたら。
[他の参加者が手をあげる]
(ボランティアしたい人が)あそこに一人いましたね!(笑い声) もし、私が「どなたから始めましょうか?(Who would like to begin?)」
「どなたが…もう感じましたか?(Who would have felt…?)」と言っていたら?
[また別の参加者が手をあげる]
つまり、(手をあげればそれで)あなたは「始まり」をやり遂げたことになるでしょう。
これはどうでしょう。「(私は)モルモットが欲しいんです。」(笑い声)
どなたか、モルモットをしたことがありますか?[少し黙る]誰も手を上げませんね。彼[ボランティアAを指差す]がやる気を感じたのと同時に、やる気を感じた人は、誰かいましたか?
[参加者]「はい」
あなたはそうだった。つまり、あなたにはやる気があった。そして、このことが表しているのは)ほんの始まりにでさえ、いかにみなさんが先入観を持てるか、というそこです。…このグループですら。みなさんが見たように、です。
このことを考慮して、自分たちの「やる気(willing)」から始めましょうか。それは、彼の言葉(発話/statement)でしたから。つまり、私たちは、「そして、あなたは、(自分には)やる気があると、どのように知りますか?(And how do you know you are willing?)」 さあ、みんなで質問してみましょう。
[グループ全体]「そして、あなたは、自分がやる気があると、どのように知りますか?」
そこに現れる言葉にはあまり意味がないので、眉(眉毛)がこんな風なことになっている人もいますね。さて、ちょっと難しくなりますが…あなたは、どんな質問を問いかけますか?
[テープ1_A面終了]
つまり、あなたの眉(眉毛)がそのように動くとき(に)、その眉(眉毛)はどんな眉なのでしょう?
この質問が、「それで、あなたが眉をひそめるとき…?」と言うよりも、いかに良いかわかりますか?そして、時に私は、自分が適切な質問ができていないのがわかって、それを理解するのに時間がかかることがあります。
でも、私が「そして、あなたがこのように眉をひそめるとき」と言う、そして、自分でそれが不適切だとわかる、または、「あなたが、あなたの眉を動かすとき」(と言い直す)。つまり、みなさんは、不適切な質問を問いかけてもいいんですよ(質問を間違えてもいいんですよ)。そして、それが不適切な質問だとわかった場合(when you know it’s the wrong question)、ただ、その質問に続けて、もう一問、他の質問をすればいいんです。
というのも、納品したもの(すでにした質問/delivery)のせいで起きることですが、もし、あなたが止まってしまって空白の時間(隙間/a gap)ができれば、クライアントはその空白の時間(that gap)を埋めようとします。質問が持つ本質で、クライアントは[あなたに問いかけられたことと一緒に]空白の時間を埋めます。
ですから、「質問を間違えた」と感じたらすかさず、そこに、ただ、「そして」と足してください。あなたには先に進めるとわかっている、そうであれば、つまらないもの(不活性なもの/inert stuff)をどんどん足せばいいんです。これが、私が、お話ししていたつまらない言葉を詰め込んで納品する(質問する)重要性です。というのも、つまらない言葉は、有効成分を一段と引き立たせてくれるからです。
もし、あなたが不適切な質問をして止まってしまったら、これは信じてもらいたいんですが、「眉をひそめる」という言葉を強化することになります。
もし、空白の時間が空けば、クライアントは「眉をひそめる」を探そうとし続けるでしょう。
でも、もしそこで、あなたが「そして」と続ければ、クライアントは「眉をひそめる」からは、注意を逸らせる。
つまり、これは、みなさんが、適切な質問ができる確率のゲームです。みなさんが2、3通りの質問ができれば、(適切な質問ができる)確率は上がります。
そうすると、これくらいで、もう十分じゃないかな…と思います。というわけで、私は、時々、道を逸れる(trail off)んです。
デイビッド・グローブ
2008年に急逝するまで、数々の治療法を考案し、アメリカ、イギリス、フランス、そして出身国であるニュージーランドでトレーニングセミナーを開催した。1989年、B.I.パンザーと共著で「Resolving Traumatic Memories」を出版。クリーン・ランゲージ、クリーン・スペース、エマージェント・ナレッジ、その他多くのプロセスの創始者。
この記事は、著者/編集者の翻訳許諾済みです。 記事のご利用は、個人の学習目的でご利用ください。それ以外の目的で利用される場合は、 直接、オリジナル記事の著者へご連絡くださいませ。誤訳を発見された場合は、clean.jikkenshitu@gmail.comまでご連絡いただけると大変助かります。
Comments