私たちは、クライアントの口から発せられる最初の言葉(そして、それらの言葉以前に起きたことさえも……でもそれは別のトピックではありません)を、非常に「深く考え」モデリングしているデイビッド・グローブと長い時間を過ごしました。後に、新たにシンボリック・モデリングを習う人たちのトレーニング中に、ジェームズと私は、そのセッションの価値は、ファシリテーターの(問いかける)最初の数問によって設定される方向づけ次第だと言えると気づいたのです。
私たちは全員、同じクリーンな質問を使います。しかし、経験豊かなシンボリック・モデラーは、経験が浅い人より、より頻繁に、クライアントをどこか意味深いところへ連れていくことができます。彼らはどのようにそれをしているのでしょう?
一つの方法は、クライアントのクライアントの最初の言葉中の情報に埋め込まれた「暗号解読」です。それから、それらの言葉が明らかにする情報に導かれることです。 経験豊かなシンボリック・モデラーは、「何を(what)」クライアントが答えているかと同様に、「どのように/いかに(how)」クライアントが応答しているか気づきます。……そして、セッション展開として、体験学習的な「試行錯誤」を用います。
5月9日のデベロッピング・グループでは、私たちが最初に問いかける数問が、クライアントにとって最大限の利益となるように、クライアントの最初の言葉のモデリングスキルの伸ばし方を探求します。 その日の文脈はコーチング/セラピー文脈ですが、もちろんその日得られるスキルは、マネージメント、仲間づきあい、子育てなど、その他諸々にも応用できるでしょう。
私たちは、その日、グループのメンバーから寄せられた、クライアントの最初の言葉とセッションの始まりから選んだものの考察から始める予定です。私たちは、以前のデベロッピング・グループで何度もこの話題に触れていますが、今回、私たちは、そこに異なるフレームからアプローチします。
事前準備として、以下の読み物のいくつか、または全てが役に立つでしょう。もし、一つしか読む時間がないということであれば、最初の一つを読むことをおすすめします。(*未翻訳です)
次に、実際のシンボリック・モデリングのセッションの冒頭のサンプル逐語録(スクリプト)を3つご提供します。逐語録には、それぞれ異なる種類の注釈をつけています。
<例1>
注:ファシリテーターによるクライアントの言葉の繰り返しは逐語録からは除外しています。
| ファシリテーター | クライアント |
1 | そして、あなたは、何が起きれば好いのでしょう? | 私は、問題を広げてみて、一つ選びたいんです。多分それは希望的考えで、問題は全部繋がってるんでしょうけど。 |
2 | そして、あなたが広げてみたい問題はいくつありますか? | 4つくらい。 |
3 | そして、あなたが4つの問題を広げてみる時、それをどこに広げてみますか? | 自分の前。その辺り。 (手を揺らすジェスチャー) |
4 | そして、最初の質問はどこですか? | (左を指さすジェスチャー) |
5 | そして、2つ目の問題はどこですか? | (指さすジェスチャー) |
6 | そして、3つ目の問題はどこですか? | (指さすジェスチャー) |
7 | そして、4つ目は? | (指さすジェスチャー) |
8 | 他にまだある? | いいえ。 |
9 | あなたが広げてみたそれらの問題を描いてください。 | (大きなサイズの紙をとり、それぞれ異なる色で4つの形を描く) |
10 | あなたが興味を惹かれるのはどこですか? | それ。 (最初の一つを指さす) |
11 | そして、そこにあなたはこれらの問題を広げてみました。そして、その一つを選んだ今、あなたは何が起きれば好いのでしょう? | それは私を成長させないから、私はそれを安全な何か、自分が必要なように、付けたり外したりできるものに、作り直したいです。 |
12 | すると、何が起きますか? | すると、エネルギーが手に入ります。 |
13 | そして、どんなエネルギー? | 暖かくて、軽いです。 |
14 | そして、その暖かくて、軽いエネルギーは(例えて言うと)何のようでしょう? | 燃える石炭ですね。 |
ファシリテーターの質問についての注釈
1行目:典型的なクリーンランゲージの質問を使った標準的なシンボリック・モデリングのオープニングです。
2−10行目:クライアント(が述べた)額面通りに受け入れ、それら2つのパートからなる望ましいアウトカムのメタファーランドスケープの構築を促します。
11行目:クライアントは、元々の望ましいアウトカムを達成し、「それら4つの問題を、そこ、に配置し、そしてその一つを選んだ」ということを前提として、ほかのアウトカムを確認するよう誘われ(いざなわれ)ました。
12行目:クライアントの発言は、レメディーと望ましいアウトカムが混ざったもの。そして、この場合、私たちは、それら(レメディとアウトカム)が望むものを手にいれた時、何が起きるかを明らかにするように誘います。
13ー14行目:望ましいアウトカムを、具体的なメタファーへと発展させる。
このセッション記録は、コンテンツ(内容)に引っ張られることなく、クライアントが要求することの構造とワークする方法を示しています。
もし、2行目で、私たちが「そして(で)、それはどのような問題ですか?」と問いかけていたら、おそらくセッションは、全く異なった方向へ進んだことでしょう。
同じように、11行目で、多くのコーチングやセラピー的アプローチでは、問題を取り上げることでワークを始めるでしょう(おそらくは、コーチやセラピストの役割は、クライアントが問題を解決することを手助けすることと考えているので)。
クリーンなアプローチの場合は、クライアントが何を求めているのか、そして、彼らが何をしていないのかを強く意識します。
このケースでは、10行目まで、クライアントはそれらの問題のどれかについて、何かをしたいとは行っていません。……ただ、それらを広げてみて一つを選びたいと言った以外には。そのため、私たちは、クライアントに決定を委ねました。私たちは、それら(問題)に残りのセッションの方向性を決めてもらいたい(または、それらは十分に(役立つものを)手に入れて、セッションは終わり!となるか)と望みました。
そうでさえ、私たちは、クライアントが11行目で触れた4つのメタファーのどれかを発展させたい誘惑にかられました。そして、そうしても大丈夫だったと思います。 しかしながら、そうする前に、私たちは、それらの問題が述べたプロセスが、終わり(目的達成)を意味するかどうかをよく考えることが、クライアントにとって有益であると判断します。そして、もし、そのプロセスが有益だとして、それら4つのメタファーが、メタファーランドスケープを最後まで発展させるなら、望ましいアウトカムを達成する他の方法を、その問題(4つのメタファー)は利用できるようになるのでしょうか?
おそらく、それらは「安全な何かにそれ(問題)を作り直す」や「着けたり外したり」というプロセスを経なくても、アウトカムを手にすることができるかもしれません。 そうかもしれないし、そうでないかもしれないし。しかし、私たちは、11行目のメタファーにいつでも戻ることができるように(そして、いくらか後の段階で、ほとんど確実にそこに戻るでしょう)、そこを明らかにするいくつかの問いかけがクライアントにとって価値があると考えました。
12行目で、私たちの判断の背後にあった考えは、25年以上の経験からの気づきです。それは、望ましいアウトカムが「何(what)」であるかと、「どのように(how)」それが起きる可能性があるとクライアントが考えているかを、彼らがいかに頻繁に絡ませている(もつれさせている)かです。
例えば、かなりの人数の人々は、もし彼らがアウトカムを達成する方法を思いつけなければ、なぜだかそのアウトカムは無効だと考えているようです。一方、論理的には、人が起きて欲しいと望む「こと/何か(what)」は、それが「どのように(how)」起きるかもしれないか(というその方法や過程)に、影響を受ける必要はありません。望みは、ただ、望みです。
望みは、正当性や説明、計画を必要とはしません。(それらは有益かもしれませんが、別の要素です。そして、もちろん、それらは、人々が「どのように(how)」と「こと/何(what)」を結びつける数々の論理的でない理由ですが、正当性や説明、計画はこの注釈の範囲外です。)
この例は、たった10分で、どのようにクライアントが(おそらく多くを発見しながら)印象的なセルフモデリングを始めたか、そして、クライアントにとって重要なものは何であれ、注目して聞くに十分に値するとみなされる(……もし、それがクライアントの望むことなら!)という実例を示しています。
<例2>
*以下の逐語録の詳細は匿名化のため変えられています。コメントはジェームズです。 *Fはファシリテーター、Cはクライアントです。
F1:そして(で)、あなたは何が起きればいいいのでしょう?
C1:自分が望むことについて話すのが、びっくりするくらい難しいことに気づきました。
私の両親と私の関係性について話し始めると……ブランコみたい。
片側には私自身がいて、もう片側には両親。
だから、私にできる今この瞬間の目標を立てるたった一つの方法は、「私の両親、私自 身、そしてブランコについてもっと知りたい」と言うことだけです。
ごめんなさい。今は、それ以上のことは言えません。
F2:そして、他に何かありますか?
C2: この問題においては、私の変化なしで、目標を立てるのがとんでもなく 難しいです。
それはまるで大きな…… もし、私が目標を持てれば、私は問題を抱えていないような気がします。 なぜなら、その半分は……これは関係性の問題なので、
……だから、半分は私次第で、 半分は彼ら次第だからです。
だから、ブランコはある種、この関係性を、……何度もなんども、
探求し始めるのに程よい場所でした。
F3: そして、ブランコは関係性を探求する方法、 そして、あなたが望むことについて話すのはとんでもなく難しい、 そして、もしあなたが目標を持っていたら、問題を抱えていないような気がする。 そして、とんでもなく難しい、びっくりするくらい難しい時、 その目標について話すのが難しいについて他に何かありますか?
C3: はい。難しいです。 どうしてかって、一つだけ言うと、その目標は本物じゃない感じだからです。 それは、私には当てはまりません。 それで、私は目標を変えます。 すると、自分に当てはまって共鳴する言葉が見つかりません。
私は、それらの言葉が何かになって欲しい、何か他のものになって欲しいんです。 まるで、私が望むことと、本当の真実として私に共鳴することの間に、すき間があ るみたいなんです。それがつらいんです。
F4:それがつらい、あなたが望むことと共鳴することの間のそのすき間……〔はい〕。
そして、あなたは当てはまる言葉を見つけられない……〔はい〕。
それらは、本物じゃない感じ……〔はい〕。
それで、あなたはそれらを変える……〔ええ〕。
そして、あなたが望むことと共鳴することの間にすき間がある時、そのすき間につい て他に何かありますか?
C4:時には、大きく感じます。 時には、絶望的にアンバランスです。 ……もしあなたがすき間を持てたとしたら、それはアンバランスなものです。〔笑う〕 ……こう言えるんじゃないかと思います。
私の両親は、永遠に地球上にはいないだろうし、私は、彼らが死ぬ前に、どうにかして 自分を満足させる関係性が欲しいんだと思います。多分、それが本当に言いたいこと。
<例3>
ファシリテーター:「そして(で)、あなたは何が起きればいいのでしょう?」
クライアント:
「私は、私が何者かというより強い感覚を発展させたいです。自分自身と私の周りにいる人たちと、私が生きる世界に与える私の価値は何なのかも。一日一日、より幸せにあること、それから、多くの時間を周りの人や自分について、混乱したり、戸惑ったりすることに使わなくていいためにできることは何なのか。
私は健康でありたいし、成功したいです。
私は、十分に苦労してきて、エネルギー不足です。私は、何か楽しめることがしたいです。それから、病気の不安なしに穏やかな気持ちでいたいのと、毎日の休息も必要です。好きな仕事について、ストレスなしで運営したいです。もし、私が働かないことを選んだとしても、罪の意識をもう感じたくないです。……それはきっとボーナスだから! 」
P.R.Oモデルを使って、クライアントの発言を区別します。
望ましいアウトカム
私が何者かというより強い感覚を発展させる。
自分自身と私の周りにいる人たちと、私が生きる世界に与える私の価値は何なのか(を発展させる)
一日一日、より幸せにあること (を発展させる)
健康でありたい、成功したい。
何か楽しめることがしたい。
穏やかな気持ちでいたい。
好きな仕事について、ストレスなしで運営したい。
問題回避策としてのレメディ
多くの時間を周りの人や自分について、混乱したり、戸惑ったりすることに使わなくていい。
病気の不安なしにストレスなしで罪の意識を感じずに(働かない選択について)
それでは、このような複雑な最初の発言にどのように応答しましょう?
明らかに、これらの望ましいアウトカム、レメディ、問題の全てを、このセッションで扱うことはできません。 そして、一つ確かなことは、私たちは、クライアントのために(クライアントの代わりに)選択をするつもりはないということです。ですから、私たちは、こう言います。
「そして、それらすべてがある時、たった今、あなたは何が起きればいいのでしょう?」
原文:Getting to ’It’: First Words – First Questions 著者:James Lawley and Penny Tompkins 翻訳:Clean Language translation project
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