メタファーは、ある1つのものと、それと共通のいくつかの特徴をもっている明らかに異なるものとを同等視します。しばしば、メタファーは抽象的な概念または感覚(例えば忠誠や愛)を具体的な何か(例えばマジックテープまたは常緑樹)と対比させます。
デイビッド・グローブ(クリーンランゲージの開発者)は、広い分野でメタファーを使用しました。その中に、直喩、類似、寓話等も含めています。
では、あなたが日常的に耳にしたり、自分で話しているようなメタファーをみてみましょう。
*まるで、レンガの壁に私の頭をぶつけているようです。
* 私は、仕事にどっぷりとつかっています。
* 私は、こんながらくたの下から出たい。
* 私は、ハマグリ(2枚貝)として幸せだ。(原文:I’m happy as a clam.とても幸せな様子を表す)
* 私は、パートナーとの繋がりをもっと感じたい。
私達は自然にメタファーを使っています。私達がどのように世界を理解しているかといえば、私達が知っている他のものとの対比によってです。そして、この世界で生き抜く為の戦略であるあなたの経験や感覚は、あなたの心、身体、思考の中に、長年に渡り、賢く効率的な方法で保存されています。時に、あなたは役に立つメタファーを持っていますが、あなたはどこでそのメタファー達を見つけられるかは知りません。メタファー達は、どこかに存在しています(そうです、あなたの体の中、または、体の近くに!)。
そして、それらのメタファー達は、おそらくは強化される必要があります。
これらメタファー達は、あなたの自信やリラックス、繋がり、そしてエネルギーを得る事に関係するかもしれません。
また時に、メタファーそのものが問題の場合もあります。問題となっているメタファー達は、かつて、あなたにとても効果的に働いたかもしれませんが、今やそれらのメタファー達は効果的に働かず、実際、そのメタファー達はあなたを戸惑わせているかもしれません。
それでも、それらのメタファー達はどこかに留まり隠れて、あなたに刺さり、あなたが考えたり、感じたりする事を静かに言語化します。例えば、あなたは自分の安全を確保し、自分を守るために、自分のハートの前に戦う人(というメタファー)を置くかもしれません。しかし、そうする事で、他の全てを排除してしまう事があります。
今、以前より、あなたは自分自身をケアすることができます。しかし、戦う人は当初の目的のまま、油断することなくそこに居て、他のものを遠ざけ、そして、疲れ切っています。そして、あなたは十分に今にいることなく、あなたが愛するものと繋がれていません。あなたのメタファーは、あなたに気づいてもらい、変容が起きるのを待っています。あなたは、メタファーを変化させ、必要なくなったメタファーから解放され、そしてメタファーを変容させることができます。そして、次にあなたが選択するものへの情熱と、自分は強く健康だという感覚をよりしっかりと得ることが出来ます。
クリーンランゲージのプロセス
鉄道モデルセット用の町を作ると想像してみてください。 鉄道モデルセットは、たくさんの目的がある物でいっぱいです。あなたは、いくつか分かれた場所に線路を敷いたところに、持っている電車を置いて走らせるかもしれません。その線路は、銀行や、学校や、そして家々の側まで伸びているかも知れません。 電車の行き来をコントロールするスイッチがあるかも知れません。 それら一つ一つのものについて、詳細や目的を付け加える事も出来ます。
同じようにして、私(原文:Gina。ファシリテーター)とあなたは、探検する為に、あなたの内的メタファーのひな形を創造します。あなたのファシリテーターである私が、深く話を聞きます。そして、構造的に考えられた(クリーンランゲージの)一連の質問と一緒に、あなたが話した言葉そのままを使いながら、あなたのメタファーの中に、あなたを導いていきます。
このプロセスはおしゃべり的な会話ではなく、あなたを内なる世界を探求するために誘うものです。このプロセスは、自己説明ではなく、自己探求です。
あなたは、自分が自己のメタファーについて沢山の事を知っている事に気づきます。そして、あなたはあなたのメタファーに起こって欲しい事やメタファーが変わる事が必要であることを感じます。あなたのメタファーが変化する為に、あなたのメタファーの出所やメタファーの意味を洞察する必要はありません。
今日の脳科学者達は、脳には、脳神経可塑性と呼ばれる成長と変化の能力がある事を証明しています。研究者達は、その能力は、ポジティブな内的経験を生み、内面の強さを打ち立てることを強く示す、経験的で、マインドフルなプロセスだと気づきつつあります。それは、新しい神経細胞とシナプスを加えることによって生まれる新しい神経回路で、マインド・肉体・脳に、思考・感情、行動について、より健康的で有益な選択をするように指示します。
私が用いているこの体験的なメタファーのプロセスは、クリーンランゲージと呼ばれるもので、3つの基本要素から成り立っています。
メタファー:
あなたは、メタファーを使う詩人である必要はありません。また、詩を書く時にあなたがメタファーを掴む方法と私たちがクリーンランゲージを使ってメタファーを生み出す方法も異なります。 その代わりに、 あなたはメタファーを体験します。それらのメタファーはすでにあなたの心の中に(夜見る夢のイメージのように)存在していて、そして、あなたは今まさに、メタファー達を発見しようとしています。
あなたの内的メタファーが生み出すイメージは、お互いに関係していて、その関係性は、あなたの行動・感情・思考パターンを映し出します。
クリーンランゲージの質問:
ファシリテーターとして私は、とてもユニークな文構造を使います。あなたが使った言葉をそのまま使用し、あなたの言葉を元にして、あなたが話すイメージについて質問します。そして、あなたの注意をイメージの詳細とそれぞれの関係に集中させていきます。あなたは、私の話し方が、普通の会話のようではなく、文法的に不自然で、とても言葉数が少ないと気づくかもしれません。
これは、あなたが私を認知すること、私との会話に引き込まれないことを促進します。
私は、あなたのメタファー探究を案内する為にいて、意味の解釈をしないし、観察を加えないし、あなたがメタファーをどうするべきか決めません。あなたは、私を(メタファーの探求を)共同で手助けをする人と言うかもしれません。
モデリング:
私(ファシリテーター)とあなたは一緒に、あなたのメタファー「ランドスケープ」の全体像を発展させていきます。メタファーランドスケープは、あなたの内的イメージ全てを配置し明らかにする地図です。一連の質問を通じて、そして、おそらくは数回のセッションを重ねてから、あなたは、あなたの経験とどのようにあなたがそれらの経験に反応したか、それをコード化したメタファー達の詳細を集めまとめることになるでしょう。
驚くほど感情的、体感的な方法で、あなたは、自分にはそれらのイメージと共に変化させたいと望む事がある事に気づくでしょう。私は、いかにあなたが望むことを起こす事が出来るかを発見する事で、あなたをガイドし、手助けします。
変化の数々はあなたのメタファーと共に現れ、まるであなたの心が古いブロックともにワークし、あなたの心が世界との出会う新しい方法を生み出すようにも見え、あなたは感情的に深いシフトを感じやすいことでしょう。
心と体の技法
クリーンランゲージは、正に心と体で体験するセッションです。そのセッションは、肉体で感じることが可能といえます・・・深く、驚くべき方法で。これが、指圧師や鍼灸師、あらゆる種類のエネルギーワーカーといったボディーワーカー達が、自分の行う施術にクリーンランゲージを融合するのは効果的であると気がついた理由の一つです。クリーンランゲージのセッションはほとんどの場合、言葉を使用して行われますが、時には、絵を描いたり、空間を動いたりしながら、クライアントが自分の内側で起こっているあらゆる事を伝えることがあります。それで、ボディーワーカーもクライアントのシフトを感じる事が出来ます。クライアントが、何らかありとあらゆるものの解放として、ため息をついたり、げっぷをしたり、あくびをしたり、泣いたりするのは珍しくありません。クライアントは、外側から内側に移動したり内側から外側に移動する物事を描写します。彼らはそれらを、エネルギー、光と描写します。川や電流もあるかもしれません、空気、そして、神的な存在とさえ描写します。
排水管はすっきりし、ダムは解体され、防護壁はその場に残されますが、その壁は安全で、他の来訪を歓迎するたくさんの小さな空気穴が作られます。
一人一人のメタファーはとても個性的な特徴がありますが、(セッションの中で)しばしば生まれる自然な流れは再構築のようだ・・・とボディワーカー達は確認しています。
イメージガイド法との違い
他のイメージ誘導技法は、メタファーをあなたに暗示します、そして、あなたはそのメタファーをどうするべきかについて指示されます。(例:「想像してください。あなたは水辺の心安らぐ場所にいます。水の流れる音が聞こえます。あなたは、音の方へ歩いていきます...あなたのガイドはあなたに、あなたが持ち帰る贈り物を与えます...。」)
そのイメージと指示は、きっととても心に訴えかけるもので、心を慰め、助けになるものでしょうが、あなたの心/体/脳は恒久的な影響を受けそうにはありません。なぜならば、それらのメタファーは「あなた自身の」情報を蓄えたメタファーと一緒ではないからです。もし、個人的なメタファーが変化しないままであれば、あなたは古い行動、思考、感情パターンの中に逆戻りしそうです。
クリーンランゲージのプロセスでは、あなたの経験、そして何があなたの成功と安全を助けるかという信念を、あなたの心と体にコード化させることで、あなたからあなた個人のメタファーを引き出します。個人メタファーへの変化の働きかけは、永続的な変容を促進することが可能です。あなたが決める方法でメタファーに働きかけることで、それらのメタファーは変化することができるし、変化するに違いありません。(そして、その変化に何が作用し、何が作用しないかを知って、あなたはきっと驚くことでしょう。)
歴史背景
1980、1990年代、NLP(神経言語プログラミング)とエリクソン催眠を学んだニュージーランド出身の心理療法家デイビット・グローブは、心的外傷(トラウマ)患者へ施術を行い、あるパターンに気がつきました。それは、あまりに辛すぎる、恥ずかしすぎる、強い恐怖感がある、潜在的に抗えない記憶や物事と向き合う時、または、単に言葉にならない言葉を探す時に、クライアントは度々メタファーを使用するということでした。 グローブは、それらのメタファーを解釈したり、「真相」を議論することなく、メタファーそのものとワークし始めました。グローブは、Clean Languageと彼が呼んだものを開発しました。
それは、言葉少なに、文法的に変わっていて、クライアントが発言したそのままの言葉を使用して尋ねられる、数が限定された質問達で、出来る限り、ファシリテーターの仮定と言葉の選択の影響を減らすこと、ファシリテーターの言葉を「クリーン」に保つ事を意図したものでした。それらの質問達を使って、グローブはクライアントをメタファーの世界への探検(そして変化へと)誘いました。そして、クライアントは快方に向かいました。イギリスのNLP心理療法家でコーチでもあるペニー・トンプキンスとジェームズ・ローリーがグローブの研究を受けさらに進めました。
デイビッド・グローブ自身の言葉を引用するならば、「より複雑な合成物を形成する為に再結合された炭素原子の塊をただ積み上げるように、ペニー・トンプキンスとジェームズ・ローリーは、神経言語プログラミングやクリーンランゲージ、そしてシステム思考といった多岐に渡るソースの中から要素を合成した。そして、そこに質量と構造を加算した。」(Metaphors in Mindの序文より)彼らはクライアントがその人自身の個人メタファーと関わり向き合う作業におけるプロセスモデルを開発しました。そして、世界中へそのアイデアを惜しげなく披露しました。
今日、クリーンランゲージとシンボリック・モデリングのファシリテーター達は、心理療法だけではなく、コーチングや調停、教育、ボディーワーク、患者への聞き取り、ジャーナリズム、セールス、マーケティング、体重管理、学術調査、その他のアプリケーションにも幅広くこのテクニックを応用しています。
原題:Clean Language and Symbolic Modeling, Explained Internal Metaphors Revealed
著者:Gina Campbell ジーナ・キャンベル
翻訳:Clean Language translation project
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