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そして、デイビッド・グローブはどんな人?(2)|翻訳


ペニー:

例をあげてもらえます?


デイビッド:

もし君が「そして(で)、それは何のようでしょう?」と尋ねるとしよう。

その質問は、直接的にクライアントの体験に言葉を向け、まっすぐにメタファーに向かうので、クリーンランゲージだよ。

それに対して、もし君が「あなたにとって、それは何のようでしょう?」と問いかけたら、クライアントは即座に認知プロセスに向かい、個々のメタファーとの直接的な結びつきを失うよ。


だから、クリーンランゲージは、ファシリテーションに属する言葉なんだ。

クリーンランゲージは、クライアントを自然なトランス状態から抜け出させせないんだ、そして、クリーンな質問は簡単に答えられるから、そこには抵抗がないよ。


クリーンランゲージの聴覚的な要素、リズムと調性(トーナリティ)は、エゴの影響を受けずに、簡単に質問を拒否できるようなものだよ。僕は、クライアントには、適切だと感じない質問はどんな質問でも、ぽいと捨ててしまって欲しいんだ。


そして、クリーンランゲージは、クライアントの身体と経験の中にとどまる言葉なんだよ。

情報の場所は、2人の人間の間、ここにある。その場所は、普通の会話(言説:ディスコース)では分かち合われない。

普通のカウンセリングでは、僕が君に質問する、君は情報を得て、次に僕にそれを伝える、そして、それが分かち合われる経験の全てだ。

注意の場所は、僕らの間を前に後ろにと動く。


だがね、僕が君にクリーンランゲージの質問で問いかけたなら、その場所は、君自身から、君の頭と体の間を三角形で結ぶことなく、情報の源である場所へと移行する。

それが、クリーンランゲージの質問の答えを考えなくていい理由なんだ。なぜなら、答えは、その情報の源からやって来るからね。


それから、君を経験から引き離してしまう質問は、どんな質問でも、クリーンランゲージじゃない。例えば、クライアントが君の質問を繰り返したとしたら、それは、その質問は適切な質問ではなかったというわかりやすい合図だよ。


そして、クリーンランゲージは、どのような抵抗もない質問を伝達する、伝達システムだよ。


クリーンランゲージは、クライアントが問いかけてもらいたいまさに適切な質問のことだよ。 質問が問いかけられた途端、クライアントは早くも答えを知っている。

クライアントが適切だと感じる質問をつかめること、もしその質問が適切ではなかった時に、クライアントが簡単にその質問を拒否できることは、クリーンランゲージのなせる技(the art)だね。


クリーンランゲージでは、君はただ、その前にした質問と同じ程度にだけ優秀なだけなんだ。 そして、もし、その前にした質問が適切じゃなかったとしても、君が何をしようとしていたかに関係なく、それは大したことじゃないよ。


言葉と言葉をつなぐ接続詞の使用、それから不定冠詞の使用は、クリーンランゲージを愉快で奇妙な言語にするよ。だけど、クリーンランゲージは、とてもシンプルだ。自然なトランス状態の言葉だよ。



ジェームズ:

クリーンランゲージを使用することによる副次的な効果の一つは、私にはそう思われるということですが…、メタファーとメタファーを観察する人との間に自然な分離があることではないかと思います。 その人が以前には気づかなかった角度から、おそらく考えたことのない方法で、それがなんであれ、眺めるチャンスを得ますね。


デイビッド:

そうだね。君が相手のエゴ状態(ステート)から離れた状態であり、経験を客体化するというという意味で、分離があるね。だから、メタファーの状態で、その他実在に問いかけるのは、クライアント本人ということになるね。


僕は情報を得るためにメタファーに直接問いかけるし、メタファーは答えられるよ。 だから、クライアントは頻繁に、メタファーについて、驚いたり、面白がったり、なんらか物思いにふけってみたりするね。そういう意味では、クライアントはメタファーと会話ができるんだよ。クライアントは、何が起きているか観察する、感情に左右されない(冷静な)観察者になるよ。


そして、そういう類の情報を手にいれるためには、君は、クライアントが現在している経験と、人生上にある経験そのものとを分けておく必要があるよ。その理由は、そこにある要素(メタファー)には、その中に情報があるからだよ。メタファーは、情報の運び屋なんだ。



ペニー:

あなたは、長い期間、症状や記憶に苦しむ人々などの施術をしていますね。メタファーを使った施術は、何十年も痛みの源だったプロセスをどのように癒すのでしょう?

クライアントはしょっちゅう、思い出せないくらい長い間、その問題を抱えているというでしょう。


デイビッド:

それは、とても興味深い質問だね。どうしてかというと、症状の幾つかは、とても治りにくいからね。 何がそれらの症状を治りにくくしているんだろう?


僕はこういう考えを持っているんだよ。

もし、子供時代で止まらなかったら?

もし、先祖から受け継がれた一族の始まりの中に含まれていた条件があったとしたら?

もし、その人が抱く怒りは、単純に、その人の父親の怒りの続きだとしたら?

もし、その人が経験するうつ病が、風土性のうつ病で、そのうつ病は、家系を伝わってきていて、単に状況によって発生したうつ病の表れではなかったとしたら?


それで、その考えは、系図の世界へ足を踏み出させた。

僕が、ある個人特有の症状の発端を追いかけた時に、僕は、子供時代には帰着しない経験がいくつかあることに気がついたんだ。 それらは、子供時代に端を発しなかった。


人は代々引き継がれる情報の運び屋だろうし、その情報そのものが、その人として表されるんだ。その情報は、その人の兄弟姉妹を逃したかもしれない。それは、その人の両親を逃したかもしれない。そのうつ病は、その人本人に端を発しない。

だから、その人本来のリソース、その人自身の経験の内にあるそれらのリソースは、その状況を癒すのに十分ではないんだ。 それで時々、人は、自分自身を癒すのに必要なすべてを持っていないんだよ。


ペニー:

何故ならば、そもそもその人が生み出した訳ではないから。


デイビッド:

問題は受け継がれてきた。その症状は、状況を癒すための最善の努力を試みている、でも、できない、という状態だ。

メタファーは、その人の症状だけではなく、その人の歴史についての情報も含んだ器(容れ物)だよ。


先祖の歴史は、解決されている。 君は、歴史的な情報と、症状を、分けて取り扱わなくちゃいけないよ。その2つを一緒にかみ合わせると、何もできないからね。


それで、この全てが魅力的な旅を、子供時代に現れた体験を癒すための先祖の利用から始めたんだ。


その人が受けたむち打ちや虐待は、その罪には合わない罰だったかもしれない。もし、その罪はその罰を受けるに値しなかったとしたら、罰する動機づけ(モチベーション)はどこからやってきたんだろう?


ジェームズ:

今日のワークショップの中で、私たちは、参加者の持つ学校でのトラウマ的な記憶が、彼らの現在の人生に、いまだに影響している様子を見ました。

私は、プロセスが展開された方法に驚きました。あなたは、学校にいる子供を癒すために(施術の中で)使った、救いをもたらす(贖罪の)メタファーを見つけ出すために、教師の先祖的歴史を探索しました。それから、あなたはその癒されたメタファーを現在に運びました。


デイビッド:

教師の歴史やその教師を雇用している国の歴史を「引き戻す」ようにする必要があるんだ。

教師の歴史や癒されるはずのシステム内の何かには、何かがあるんだよ。

それで、クライアントは、それらの祖先に戻ってそれを癒す機会を得るんだ。

それから、クライアントはそれらすべての先祖をピックアップして、彼らの体の中にピックアップしたものを逆輸入するんだ。すると、クライアントは今を邪魔する過去を持たなくなる。


世代間の癒しに関して最も素晴らしいことの一つは、その人の両親や血族の人たちが辿ったネガティブな要素を体験する必要なく、その人の両親を迂回できることと、直接的にその人の血統の一部にアクセスできることだね。両親のために血統を切り離されるのではなく、その人が、その人自身の歴史に戻って、その歴史を自分のものだと再認知できるんだ。 これらは、その人に、(その人の)両親のネガティブな観点を通してフィルターにかけられてはいない、全てが明るい要素へのアクセスを提供するよ。


その人の祖先に立ち戻ること、そして、それを癒しきることは、体験すべき素晴らしいことになりうるよ。


ペニー:

今話してくれたことは、あなたが手の動きやや視線といった小さな手がかりから始め、そして、いくつかの質問で、まっすぐに、その人にとって本当に重要な体験にたどり着く理由を説明していますね。


デイビッド:

クリーンランゲージがそうなんだよ。なぜかというとね、ジェスチャー全て、それから取りわけ強迫観念を伴うジェスチャーやチック、これらの奇妙で特有な動きには、その振る舞いの全体の歴史が暗号化されているんだ。そこには、その人の心理的歴史の全てが含まれているんだ。全ての細胞がその人の生物学的歴史の全てを含むのと同じ方法でね。


ペニー:

そして、それは言葉やフレーズについても同じことが言えるんでしょうか?



デイビッド:

まさしくそれが、僕らがクライアントの発話(ダイアログ)を変えられない理由だよ。だって、君がその体験を変えてしまったら、君はクライアントの言葉から、彼らの体験を展開することができなくなるよ。


ジェームズ:

それで、たまに症状が治りにくい時に、クライアントが彼らの体験を変化させすぎるんですね(言い換えるんですね)。大抵は、セラピストの善意によって。

ポール・ウォッツラヴィックが言うように、企てられた解決策は問題になります。

幸いに、メタファーは汚染されていない状態の情報を保持します。そして、症状の解決策は歴史の中にあると言うこと?


デイビッド:

そうだね。歴史の中には、悪いものと同じように、素晴らしいものが常にある。

三人姉妹が同じ刺激からの影響を受けたとして、それぞれの反応はとても異なるに違いないよ。一人はポジティブな方法で体験を伝えるに違いなく、もう一人はネガティブな方法で伝えるに違いないし、そしてもう一人は、それを全く伝えない。


質問は:それがどのように起きるか?だ。

さて、君が、この姉妹それぞれの文章を「後ろへ下げる(過去に後退させる/pull back)」時には、君はおそらく、姉妹達が異なる先祖系統をたどるのに気づくだろう。


それにね、その人が純粋で不安な体験を最初にする時、なぜ、その人は幾多ある他の方法ではなくて、その方法で応答したんだろう?


僕は、僕らは影響を受けやすいと思うんだ。その人ごとに特有の感受性があるように思うね。


ジェームズ:

もしこの姉妹達が同じ先祖を持っているとしたら、どうして姉妹達は同じ素因を持たないんでしょうか?


デイビッド:

そこが問題なんだよ。なぜなら、彼らの血統は、異なる方法で遡られるからだよ。そして、それは君が何を後ろへ下げるかに委ねられるよ。もし、君が腕の痛みを後ろへ下げるなら、その痛みはある系統を遡るだろうし、もし、君が息遣いを後ろへ下げるなら、それは別の系統を遡るだろうし。


そして、何の影響も受けていない姉妹が一人いて、そうすると、それは大した問題ではなく、そこには後ろへ下げることは何もない。


ジェームズ:

それでは、どのようにその素因とその情報が血統を伝って遺伝するかについて、あなたの考えはどうでしょう?



デイビッド:

さっぱりわからないよ。僕は、その質問は、異なる髪質や目の色をしている姉妹達についてと同じ質問だと思うよ。僕らは、(人生)初期の心理的特徴をどこから手に入れるんだろう?どんな遺伝子が僕らの心理を運んでいるのだろう?



ペニー:

まあ!ちょうどそこのところで質問があります!あなたは、どの程度、生物学的モデルを心理学的モデルに持ち込むつもりですか?


デイビッド:

僕は同じ扱いだと思っているよ。僕は、感情は抗体みたいなものだと思う。

感情は、ある状況が最初に起きた時に、体がそれを癒そうとして成功しなかった企てだよ。

もし、その企てが機能しなかったなら、元の状況と似ているいかなる他の状況でも、その症状は製造され続けるんだ。それはまるで、細胞分裂のように……なんどもなんども、繰り返し。


僕の考えでは、心理学は、医学に従うべきだろうと思う。僕らは、遅れている。


初期、すべての医学は、病理学の全般的な解説で、それが、心理学が現在あるところだよ。


医学は、分子生物学のより詳細なレベル、システムと病気の複製へと移行した。僕は、それは、経験を変化させる上で、進むべき道だと思うんだよ。経験を変化させるのは、複製についてで、結果/製造の終わり(the end product)ではない。


ジェームズ:

病理学的に再現するシステムにはどのような影響がありますか?私は、どのようにシステムの複製する機能を遮るかに好奇心が湧きます。


デイビッド:

君がそうする方法は、自然がそうするのと同じ方法だよ。

ほとんどの細胞分裂は有糸分裂だ。細胞はそのもののクローンを作るか、全く同じものを複製する。心理学的に同等なのは、人生初期の体験に由来する一連の症状が大人になってから何度も何度も再現される場合だね。


異なる仕組みが、性細胞分裂には含まれている。その過程は、減数分裂(還元分裂)と呼ばれ、そこでは、ある染色体のセットから、別の染色体のセットへと遺伝子が交換される交差がある。クローン化のようではなく、結果として生じる遺伝子構造は、元の構造とは異なる。それが、世代間の癒しが作用する仕組みだ。


僕らは、過去に戻り、その人の先祖に由来するメタファーの中の情報を拾い上げ、そして次に、その人の一生にそれを運ぶ。この情報交換はその人が現在する体験の結果(アウトカム)を変化させる。そして、古い体験そのものは複製されない。


そう、例えばね、もしある母親が忙しすぎて、その人は、トラウマ的な出来事の加害者になった人と2人だけで取り残されたとしよう。すると、その源を見つけるために母方の先祖系統を遡らなければならないかもしれないね。贖罪(救い)のメタファーを見つけるためにね。その人の母親はどこにいる?


彼女は忙しすぎたのは、どのように起きるのだろう?これが、クライアントが行って見つけ出す必要がある仕組みの複製を遮ることができる情報だよ。


メタファーは、DNAや遺伝子細胞のようなものだよ。……複製される遺伝的暗号だよ。だから、もし、繰り返されたり、習慣的だったりする体験を変化させたいなら、大事なのは、複製の仕組みだよ。


ジェームズ:

それらの仕組みの構造は、私たちが話している物質界の構造、メタファー的な構造のどちらもと同じなんですね。それらは、同じだと。


デイビッド:

ああ。僕たちがこのレベルで介入することができるように、これらの構造を見つけなさい。

それは、内容/要旨(コンテンツ)を変化させようとするのとは違うんだ。

コンテンツには関わらない。


そして、僕が、この世代間に渡ることがとてもパワフルだと考える理由は、その源に由来する変容力のある情報を人は使っているからなんだ。そして、僕が、この世代間に渡ることがとてもパワフルだと考える理由は、その源に由来する変容力のある情報を人は使っているからなんだ。


人がその情報源の「視 線(line of sight)」を見つけたなら、それは、ただの目の角度じゃないんだよ。その情報は、その人に源を発せず、その人の先祖に源を持つ、そして、それが責任をシフト(移行)させる。


ペニー:

権限委譲(エンパワーメント)は、多くあちこちで言われている言葉ですが……これは、まさにエンパワーメントですね。


デイビッド:

まあ、そのように終わるね。

最初に権限のない(unempower/エンパワーでない)状況がある時に、その前提から始めてみるのは面白いね。その人は後になるまで権限をな与えられない、源を見つけるまでは。


ペニー:

素晴らしいことに、あなたは、態度や視線、症状を捉え、そして、クリーンランゲージを使ってメタファーを見つけ出し、そして、その先祖的な源まで戻って追跡できますね。

そこに、あなたは贖罪(救い)のメタファーを見つける……ただ最初にあった条件ということでなく、血統全体に関わる、癒すために必要な情報を含むメタファーを。


そして、それは、大きな違いを生みます。私は知っています……私はそれを経験しましたし、そして、それが私の人生に意味深い効果をもたらしたからです!


デイビッド:

そうだろうね。


ペニー:

ありがとうございました。あ、それからタオルを取ってください!


 

翻訳:Clean Language translation project

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